残留争いの最終節というのは、観ているこちらまで胃が痛くなる。今季でいえば、その緊張を一身に背負うのがウェスト・ハムだ。18位、勝点36。降格圏に沈んだまま最終節を迎え、ロンドン・スタジアムでリーズを迎え撃つ。状況は単純で、残酷だ——勝たなければ、おそらく落ちる。
17位スパーズとの差は2ポイント。ハマーズが勝って、なおかつスパーズが取りこぼせば、土壇場での残留が見えてくる。引き分けでは、おそらく足りない。シーズン38試合の集大成が、たった90分の出来に凝縮される。こういう試合のために、サッカーファンは1年間付き合ってきたのだとさえ思う。
皮肉にも、ハマーズもホームが苦手だ
前の記事でスパーズのホーム不振を書いたが、実はウェスト・ハムも似た悩みを抱えている。ホーム成績は5勝4分9敗、勝率はおよそ28%。本拠地で勝ちきれないシーズンを送ってきた。残留が懸かる最も重要な試合を、その苦手なホームで迎えるという構図は、スパーズとよく似ている。今季のロンドンの2クラブは、なぜかそろってホームで苦しんだ。
ただ、ハマーズにとって希望があるとすれば、直近5試合のフォームがLLWDWと、終盤に向けて上向いていることだ。連敗から抜け出し、勝点を拾い始めている。残留という最大級の動機が、シーズン中はなかなか出せなかった集中力を引き出す——そういう力が、追い込まれたチームには確かに宿る。私はその「火事場の馬鹿力」に少し期待している。
リーズは「消化試合だけど手強い」
厄介なのは、相手のリーズが好調だということだ。14位で残留は確定済み。順位的には失うものがない。にもかかわらず、直近5試合はDWDWWと負けていない。アウェイ成績そのものは2勝9分7敗と勝ち星は少ないが、引き分けの9が示すように「簡単には負けない」したたかさがある。
失うもののないチームが、好調を維持したまま、必死な相手のホームに乗り込む。これは番狂わせの温床だ。ハマーズが残留の重圧で硬くなったところを、リーズが冷静にカウンターで突く——そういう展開を、私は警戒している。期待得点(λ)はハマーズ1.56、リーズ1.39と僅差。数字の上でも、これは決して「ハマーズが楽に勝てる」試合ではない。
最初の1点が、すべてを左右する
この試合の鍵は、ほぼ間違いなく「最初の1点を誰が取るか」だ。ハマーズが先制すれば、ロンドン・スタジアムの不安は歓喜に変わり、選手の足が軽くなる。残留が現実味を帯びて、チーム全体が前向きになる。逆に、リーズに先制を許せば——苦手なホームで追いかける展開は、ハマーズにとって悪夢だ。焦りから前がかりになり、カウンターで追加点を奪われる。降格争いのチームが崩れるときは、たいていこのパターンをたどる。
そして、ここでも同時刻のスパーズ vs エヴァートンの経過が絡んでくる。スパーズが勝っていれば、ハマーズは勝つしかなくなる。スパーズが苦戦していれば、ハマーズにもわずかな余裕が生まれる。二つのロンドンのスタジアムで、残留を懸けた90分が同時に進む。どちらのサポーターも、自分のチームの試合と、もう一方の経過を、心臓を握りしめながら見守ることになる。
私は特定のチームのファンではないが、こういう試合は、勝った側の歓喜と負けた側の沈黙の落差があまりに大きくて、毎年見るたびに胸が締めつけられる。降格は、クラブにとってもサポーターにとっても、本当に重い。だからこそ、ハマーズの選手たちが、この90分に持てるすべてを注ぎ込む姿を見たい。結果がどうであれ、全力を出し切った最終節は、見る者の記憶に残る。