2025-26シーズンのサンダーランドが7位・勝点54で終えたのを見て、真っ先に思い出したのは2023-24のサウサンプトンだった。同じ「昇格1年目」という立場で、勝点はわずか12。同じ舞台に立ったクラブが、これほど違う結末を迎える競技だということを、あらためて数字で確かめたくなった。
ちょうどプレミアリーグの新シーズンが目前に迫っている。毎年恒例のように「昇格組は苦戦必至」というプレビューを目にするが、実際にどれくらいの確率でそうなっているのか、手元のデータで過去の昇格組を振り返っておきたい。
対象と集計方法
対象はプレミアリーグとラ・リーガの2リーグ。各シーズンの参加クラブ一覧を前年と突き合わせ、新規参入したクラブを「昇格組」として抽出した。2023・2024・2025シーズンの3年分、2リーグで合計18クラブが該当する。各クラブの初年度成績は、当サイトが保有する全380試合(20クラブ×2回総当たり)のスコアデータから勝点・順位を算出した。「残留」の定義は、20クラブ中17位以内(=降格圏の下位3クラブに入らない)としている。
セリエA・ブンデスリーガ・リーグ・アンも同様に集計を試みたが、セリエAは範囲を絞る都合で今回は対象外にし、ブンデスとリーグ・アンは昇格プレーオフに関わるクラブがチーム一覧に混入し正規シーズンの試合数と食い違うケースがあったため精度を優先して外した。無理に数を揃えるより、確認できた範囲で正確な数字を出す方を選んでいる。
18クラブ中、生き残ったのは6クラブ
集計結果は、18クラブ中6クラブが残留、12クラブが降格。残留率にすると33.3%だった。単純に言えば、昇格組の3分の2は1年で舞台を去っている。「昇格した年は苦しい」という定説は、少なくともこの2リーグ・3年分のデータでは裏付けられる形になった。
平均勝点は31.5。両リーグとも残留ラインはおおむね勝点35〜38あたりに位置することが多いので、昇格組の「平均」はすでに残留ラインを下回っている計算になる。もっとも、これはあくまで平均であって、実際の分布は両極に大きく散らばっている。
| クラブ | リーグ | シーズン | 順位 | 勝点 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| サンダーランド | プレミアリーグ | 2025-26 | 7位 | 54 | 残留(好成績) |
| アラベス | ラ・リーガ | 2023-24 | 10位 | 46 | 残留 |
| リーズ | プレミアリーグ | 2025-26 | 14位 | 47 | 残留 |
| サウサンプトン | プレミアリーグ | 2023-24 | 20位 | 12 | 降格(きわめて少ない勝点) |
| バリャドリード | ラ・リーガ | 2024-25 | 20位 | 16 | 降格 |
| シェフィールドUtd | プレミアリーグ | 2023-24 | 20位 | 16 | 降格 |
サウサンプトンの勝点12は、プレミアリーグの中でもきわめて少ない部類に入る数字だ。同じ「昇格1年目」という括りでも、サンダーランドの54点との差は42点、実に1試合平均1点以上の開きがある。昇格組とひとくくりにすること自体に、あまり意味がないのかもしれないと思わせる差だ。
リーグによって明暗がはっきり分かれる
2リーグをそれぞれ見ると、残留率にはっきりした差があった。プレミアリーグは9クラブ中2クラブのみ残留で22%、ラ・リーガは9クラブ中4クラブで44%。プレミアリーグの昇格組は、ラ・リーガに比べて明確に苦戦している。
平均勝点で見ても同じ傾向で、プレミアリーグの昇格組は平均27.6点、ラ・リーガは35.4点。プレミアリーグだけが際立って低い。理由をデータだけから断定はできないが、放映権収入をはじめとした資金力の差が下部リーグ(チャンピオンシップ)と上位リーグの間でスペインより大きく開いている、とはよく言われる話で、この数字はその実感と矛盾しない。
「生き残った」6クラブの中身を見る
ここで気になったのは、生き残った6クラブが具体的にどのあたりの順位で終えているかだった。順位を並べてみると、アラベス10位、リーズ14位、エスパニョール15位、エルチェ13位、そしてサンダーランド7位。6クラブ中4クラブが10位から15位の間に固まっている。つまり「残留した」とはいっても、その大半は下位に近い順位での辛勝であって、余裕を持って残留を決めたクラブはほとんどいない。
その中で唯一の例外がサンダーランドの7位だ。他の5クラブとは明らかに一線を画す成績で、ヨーロッパ資格圏こそ逃したものの、上位進出争いの一角に食い込んでいる。18クラブ中でこれだけ突出した例は他になく、「昇格組の中でも稀な当たり年」だったと言っていい。裏を返せば、残留できた昇格組の大半は「際どく生き残った」側であり、サンダーランドのような結果はむしろ例外に近いということでもある。
この数字をどう読むか
18クラブ中6クラブという数字だけを見れば、「昇格組は苦戦必至」という決まり文句はおおむね裏付けられる。ただしプレミアリーグとラ・リーガで残留率が22%・44%とこれだけ開くとなると、「昇格組」を一括りにする以上に「どのリーグに昇格したか」自体が結果を左右する要因になっているとも読める。そしてサンダーランドの54点とサウサンプトンの12点の差が示す通り、同じプレミアリーグの昇格組同士でも結末は両極端に振れる。
新シーズンの開幕前に「今年の昇格組は苦戦しそうだ」というプレビューを目にしたとき、それが18クラブの実績に裏付けられた話なのか、それとも毎年繰り返される決まり文句なのか、今回の集計を思い出しながら見てみたい。