※ 本記事について: 本記事は過去データに基づく分析コラムです。記述する数値や考察は分析の参考情報であり、賭け事(スポーツベッティング)の判断材料としての利用は推奨しません。

プレミアリーグが開幕して数試合が終わった今の時期、SNSを見ていると「開幕5試合を終えて早くも今シーズンの序列が見えてきた」という趣旨の投稿をよく目にする。個人的には毎年この手の話を半分眉唾で聞いているのだけれど、実際どれくらい当てになるものなのか、一度きちんと数字で確かめたことがなかった。手元には5大リーグとJ1・J2、合わせて7リーグ・4シーズン分のスコアデータがある。せっかくなので、開幕5試合の成績が最終順位をどこまで言い当てるのか集計してみた。

対象と集計方法

プレミアリーグ・ラ・リーガ・セリエA・ブンデスリーガ・リーグ・アン・J1・J2の7リーグについて、2022〜2025年の4シーズン分(開幕年で表記、例えば2025年は2025-26シーズン)を対象にした。各チームの開幕5試合(「Regular Season - 1」〜「5」)の勝点合計を算出し、それをそのシーズンの最終勝点による順位と突き合わせている。全試合が正常に終了しているシーズン・チームのみを対象にしたため、7リーグ×4シーズン=28シーズン、チーム数にして546サンプルが集まった。

相関係数は0.627 — 「無関係ではないが、決定的でもない」

開幕5試合終了時点の順位と、シーズン最終順位の相関係数を計算すると0.627になった。統計的には中程度からやや強めの正の相関で、「開幕の出来が良いチームは最終順位も高くなりやすい」という直感は数字の上でも裏付けられる。ただし1.0からはまだ距離があり、開幕5試合だけでシーズンの結末を言い切れるほどの強さではない。

もう少し具体的に見るために、開幕5試合の成績で各シーズンの上位25%に入ったチーム(133サンプル)を追跡すると、最終順位でも上位25%に残ったのは82サンプル、61.7%だった。逆に開幕5試合で下位25%だったチーム(133サンプル)のうち、最終順位でも下位25%のままだったのは69サンプル、51.9%。好調組のほうがやや再現性が高く、不調組は「そのまま沈む」チームと「持ち直す」チームがほぼ半々に割れている。

開幕勝点が多いほど、最終順位は素直に上がっていく

開幕5試合の勝点別に、そのシーズン内での最終順位の平均(上位に近いほど数値が小さい相対位置)を並べると、ほぼ階段状に並ぶ。

開幕5試合の勝点サンプル数最終順位(平均・相対位置)
0〜2点52上位から平均82.7%の位置(下位寄り)
3〜5点152上位から平均66.9%の位置
6〜8点178上位から平均53.5%の位置
9〜11点103上位から平均36.2%の位置
12〜15点(勝ち越し〜全勝)61上位から平均16.1%の位置

開幕5試合を1勝もできなかった(0〜2点)チームは、平均するとシーズンを下位2割弱で終える計算になる。逆に開幕5試合で4勝以上(12点以上)を挙げたチームは、平均で上位2割弱、つまり優勝争いかヨーロッパ資格圏の常連になっている。傾向としては素直で、開幕の出来が良いに越したことはない。

それでも、真逆の結末を迎えるチームは毎シーズン出てくる

ただし平均の傾向がどうであれ、個別のケースでは大きく外れる例が毎シーズンのように出ている。もっとも印象的なのが2025-26シーズンのプレミアリーグで、トッテナムとアストン・ヴィラが対照的な軌跡を描いた。

トッテナムは開幕5試合を3勝1分1敗・勝点10で終え、20クラブ中4位につけていた。ところがシーズンを終えてみると最終順位は17位、勝点41。開幕時点の貯金はほとんど意味をなさなかった格好だ。同じシーズンのアストン・ヴィラは真逆で、開幕5試合は1分3敗1分・勝点3のみで18位と出遅れていたが、最終的には勝点65まで積み上げて4位でシーズンを終えている。開幕5試合という同じ物差しで測ったとき、この2クラブの立ち位置はほぼ入れ替わった。

過去のシーズンにも同様の例がある。2022-23のプレミアリーグでは、リーズが開幕7位(勝点8)につけていたが最終的には19位で降格。2024-25のセリエAでは、エンポリが開幕4位(勝点9)から最終18位に転落し、これも降格した。逆方向では、2023-24のリーグ・アンでランスが開幕5試合を1分4敗・勝点1というほぼ最下位の出だしから最終7位まで這い上がった例がある。

この数字をどう読むか

今回の集計から言えるのは、開幕5試合の成績は最終順位の「弱いヒント」にはなるが、「結論」にはならないということだ。相関係数0.627、上位25%の残留率6割強という数字は、SNSでよく見る「もう今シーズンの序列は決まった」という言い切りを裏付けるには弱すぎる。一方で「開幕なんて関係ない、シーズンは長い」と全否定するには強すぎる、というのが正直な着地点だと思う。

今シーズンのプレミアリーグも開幕から数試合が終わったところだ。早々に調子を落としているクラブのサポーターも、逆に開幕ダッシュに成功したクラブのサポーターも、トッテナムとアストン・ヴィラの前例を思い出しておいて損はない。